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 著者の橋本淳一郎氏は、SF作家だそうだが物理学者でもある。また、分かりやすい参考書でも知られていて、受験生の間では「物理のハッシー君」と親しまれているそうだが、著者の事は全く知らなかった。

 物理学者の書いた「時間」についての「哲学書」ではあるが、難解な数式は出てこない。しかし、物理学者だけに量子論、相対性理論(相対論)などの物理学を元に「時間」について哲学的に考察している。

 こうした、アプローチの方法は他に類を見ない。著者によれば、物理学者で「時間」に本気で取り組んでいる人はいなくて、哲学者は最新の物理学を無視しているのだそうである。

 それで、自らの知的好奇心を満たすために哲学には素人の自分が、この本を書いたのだそうだ。そこに、物理学にも哲学にも素人の僕は惹かれて早速読み始めた。
 「時間」という訳の分からないものを扱っているだけに、平易な読み物ではない。物理学の専門用語も出てくるし、量子論、相対論は、素人には「常識的」に理解できない。

 例えば、相対論では「時間」が「実」で「空間」が「虚」として扱われる。こうした空間を、「ミンコフスキー空間」と呼ぶらしいが、感覚的に付いて行けないが、「光の世界線」によって説明されると、確かに空間は「虚」であることは直感的に理解できる。日常生活には、全く関係はないが、どうやら空間は「虚」のようだ。

 相対論は、まだ理解できる。だが、量子論はそうは行かない。量子論の世界では、常識が通用しない。なにしろ、量子論の世界では「時間」すらなくなるのであるから・・・。

 ともかく、この本では「時間は何故、過去→現在→未来」へと一方的に流れて、その逆はないのかとか、そもそも「時間」とは「いつ、どこで」生まれたのかを考察している。

 といっても、一筋縄ではいかない。便宜的に単に「時間」と書いてきたが、著者は「時間」という概念を「物理学的時間」と「人間的時間」に分けている。

 「物理学的時間」は、はっきりしていて「そんなものは存在しない」。恐ろしい事に、相対論、量子論ともに「時間」は存在しないと結論付けている。

 しかし、僕は明らかに「時間」という概念の中で生活している。「物理学的時間」と「人間的時間」を明確に区別して、その上で「人間的時間」、どこで生まれて、過去からの一方通行なのかを考察しているのである。

 「時間」と言うものを説明するのに、便宜的に哲学者マクタガードが用いた時間のA系列、B系列、C系列という考え方を著者は利用している。

 A系列:主観的時間(人間的時間と同意の時間)
 B系列:歴史年表のような客観的時間
 C系列:時間とは呼べない配列

 ちなみに、マクタガードの結論は、「A系列、B系列の時間は存在しない、C系列は実在する可能性がある」、と言うものでC系列は「時間」とは言えないから、結局「時間は実在しない」ということらしい。

 著者の結論も、アプローチの仕方は全く異なるがマクタガードと似たものになる。現代物理学の結論を踏まえた上で「時間」を考察すると、「時間は実在しない」のである。

 その上で、「人間的時間」がどこで生まれたのかを考察し明確な結論を導き出している。

 つまり、「物理学」的に「時間は存在」しないとした上で「人間的時間」の「存在」(実在はしていないが)を考察していて、極めてユニークで面白い本だった。

 知的好奇心の旺盛な方には、とてもお勧めで楽しめる本だと思います。
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2007/03/17(土) 21:39:52 | 『小説なんでも大事典』
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