日本酒やグルメ、ダイエット等、興味のあることを色々ご紹介します。

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我が家の中二の娘は、夏休みの課題である自由研究で「霧箱を使って素粒子を見る」に挑戦しました。

福島原発の事故により、春から連日「放射線」のことがニュースで取り上げられていて娘も関心を持ったようですが、「放射線」が良く分からない。なんと言っても「見えない」ので実感がわかない。

それで、僕が「霧箱」という小学校の工作程度で作れるもので見えるよ、と教えたところ興味を持ったらしく挑戦することにしました。

「霧箱」とは、容器の中でアルコール蒸気の過飽和状態を造ることによって、荷電粒子(電荷を持った粒子)の飛跡を可視化する道具です。とてもアナログな道具なのですが、「霧箱」によって素粒子が可視化されることで、ノーベル物理学賞を受賞した科学者もいる侮れない道具でもあります。

作成したのは、簡単に作れる「拡散霧箱」と言うもので、主な材料は以下の通りです。

1)容器:台所にあったパイレックスの保存容器を使用しました。
2)アルコールを染み込ませるもの:すきまテープを使用。脱脂綿とかでも可能
3)ドライアイス:ネットで購入(3kgで2100円。送料込)
4)無水アルコール:薬局で購入(1Lで1280円)
5)黒い紙:飛跡が見えやすくするために容器の内部を覆うもの(A3で50円)
6)懐中電灯:家にあるものを使用。なるべく明るい方が良いらしい
7)サランラップ:容器にふたをするために使用。

以上です。詳しくは、「霧箱 作り方」で検索するとサイトがたくさんヒットします。

DSC01031.jpg

↑こんな感じで観測します。容器の上部に張ってある「すきまテープ」に無水アルコールを染み込ませて、底部をドライアイスで冷やします。容器自体は、発泡スチロールの箱(ドライアイスが入っていたもの)に入れてあります。

最初は、なかなか観測できませんでした。観測が上手に行くポイントは、

①容器の上部と下部の温度差を大きくする:容器の高さが十分ある(10センチ以上)方が良いようです。
②懐中電灯の当て方。色々試して下さい。
③アルコールの量:これでもか~って言うくらい染み込ませた方が良いようです。
④容器の底を均一に冷やす。

などです。

この中でも④は重要な気がします。最初、観測できなかったときは、ドライアイスの砕き方が中途半端だったので、こんな感じで砕いた後に「ざる」でふるいに掛けてパウダー状にして使いました。その方が均一に冷やせます。

DSC01032.jpg

懐中電灯の照らし方も底の方を照らしたり、中間を照らしたりなど色々やっているうちに、シュッと太くて短い飛跡が観測できました。たぶん、空気中のラドンがアルファ崩壊したアルファ線だと思います。その後、細くて長い飛跡(たぶん宇宙線のミューオン)やグルグル回るような飛跡(たぶん、ベータ線)や、もやもやした飛跡(たぶん、ガンマ線によってはじき出された電子)などの自然放射線が観測され始めました。

こんなアナログな簡単な工作で作った道具で「素粒子」が観測できるなんて驚きます。

でも、そんなに沢山は観測できないので、「線源」としてキャンプで使用するランタンの「マントル」を入れてみました。メーカーによって異なるようですが、マントルには放射性物質の「トリウム」が含まれたものがあるようです。

トリウムの同位体は、アルファ崩壊を繰り返して鉛に変化します。

Th228⇒Ra224 α崩壊 半減期約2年
Ra224⇒220Rn α崩壊 半減期3.66日
220Rn⇒216Po α崩壊 半減期55.6秒
216Po⇒212Pb α崩壊 半減期0.145秒

後半でラドン220がα崩壊を繰り返して鉛212になる時、ポロニウム216の半減期が極めて短いため、アルファ線がほぼ同時に発生するために折れ曲がった飛跡ができます。これを観測したかったのですが、残念ながら一回しか見えませんでした。

購入したマントルは、キャプテン・スタッグ社のもので、ネットで推奨されていたのですが数年前の情報なので成分が変わったのかもしれません(ホームセンターで480円でした)。

DSC00995.jpg

また、飛跡がいつ出るのか予測できないので写真撮影も上手く行きませんでした。なんとか、それらしいものが取れたのが、この写真です。

alpha_1.jpg

分かりにくいかもしれませんが、太くて短い飛跡が何とか確認できます。肉眼では、もっとはっきりと観測できます。ミューオンらしい飛跡は、はるか宇宙の果てから飛んできたかと思うと「おぉー」って感動さえします(理系バカの僕だけかもしれません)。

注意点としては、ドライアイスはマイナス76度の低温なので、扱う時は必ず軍手を着用する事。アルコールは引火しますから火気厳禁ですし、酔っ払うのでアルコール蒸気を吸いこまないこと、また、ドライアイスは二酸化炭素ですから換気を十分行う事などです。

このような注意点を守れば、危険も少なく楽しい実験ができます。費用もドライアイスとアルコールで3000円程度掛かるくらいですが、ドライアイスはアイスクリームの保存用に付けてくれるものでも出来るので、通販で3キロも購入する必要はないと思います。

中学生や高校生の娘さんと会話が少ないとお嘆きのお父さん方にお勧めしたい自由研究です。
コメント
この記事へのコメント
奇遇です。
当方の息子も中2 で自由研究のテーマに霧箱を選び、数日前に私のブログに書き込んだばかりでした。レポートを書かせるにあたって良いサイトが無いかなと思ってこちらを見つけました。
参考にさせて頂きます。
ちなみにドライアイスはスーパーでかなり高い確率でタダで貰えます。塊ではなく、ペレット状のものを使用しているお店を見つけることがポイントのようです。
2011/08/20(土) 18:07 | URL | モッパー #-[ 編集]
>>モッパー様
今年は、自由研究に「霧箱」選ぶ中学生多いように思います。
反省点として「すきまテープ」は失敗でした。エタノールで接着面が溶けて、はがれてしまいました。針金と脱脂綿で作成した方が良いと思いました。
ブログも拝見させて頂きました。ウランガラスの存在を初めて知り、実験結果を知りたく思いました。コンプトン散乱とか確認できるのでしょうか?
2011/08/21(日) 12:07 | URL | papaci #-[ 編集]
papaci様
ウランガラスはα線、β線、γ線すべて出ているはずですが、γ線は微弱とのことで二次電子線は見えませんでした。
β線は明らかにウランガラスの周囲で観察できましたが、α線は出現率が変わったとは言えず線源から放射状に出る様も観察出来ませんでした。
マントルはスポーツ店にガイガーカウンター持参して調べましたが、反応するものは発見出来ませんでした。
トリウム入り溶接棒というものも良さそうですが、試してません。
2011/08/21(日) 17:15 | URL | モッパー #vASB4.KM[ 編集]
>>モッパー様
返信、ありがとうございます。
マントル、材料が変わったのだと思います。アルファ線が出ているとは思えませんでした。
船用の塗料に放射性物質が入ったものがあるようですが、試せませんでした。
2011/08/21(日) 18:07 | URL | papaci #-[ 編集]
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