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 昨日の朝日新聞にジェラール・フィリップの記事が掲載されていた。彼の主演作の数本の配給権が年内に切れるため、もうすぐ日本では上映出来なくなるようだ。

 池袋の新文芸座で開催される「銀幕の貴公子 ジェラール・フィリップ」(6月7日~16日)で代表作の「赤と黒」「肉体の悪魔」「モンパルナスの灯」を含む6作品が見納めになるようです。
 ジェラール・フィリップは、1959年に36歳の若さで夭逝したフランスの男優で、いわゆる正統派の二枚目俳優です。

 ジェラール・フィリップに惚れ込んで、「彼の映画を上映するため」に配給会社のセテラ・インターナショナルを設立したのが、社長の山中陽子さん。今から15年程前のこと。

 これまでに「から騒ぎ」「最高の恋人」「パリのレストラン」等のヒット作を手がけつつ、10年程前に念願の「ジェラール・フィリップ映画祭」を新宿のテアトル新宿で開催した。

 ミニシアター系の配給会社は社員が数名しかいない。確か、セテラも山中社長と宣伝担当2名と営業担当1名しかいなかったと思う。多いときで社長を含めて5名くらいだったと記憶している。

 配給と言う仕事は、とてもハードで映画が好きじゃないと、とてもやっていられない。金銭的な見返りも殆んどないどころか、ペイしないこともしばしばある。好きなだけでは、会社を維持できない。

 以下の内容は、僕が映画業界にいた時のことなので、現在は違うかも知れません。

 映画の配給権は、一般的にはオールライツで10年間。オールライツとは、その作品の全権利(主として劇場公開権、ビデオ化権、テレビ放映権)の事で、ミニシアター系の場合、安い作品で1,000万円、そこそこの作品で3,000万~5,000万円、1億円を超す事もあります。

 そして、基本的に前払いなんです。半分くらいの手付けを打つとマスターが送られてきます。残金も何時までに支払うか契約できっちり決められます。

 そして、配給権を買っただけではすまない。予告編も作らなくてはならないし、字幕も入れなければならない。パンフレットやポスター、チラシだって必要だ。この制作費だって安くはない。

 さらに、宣伝しなくてはならない。この宣伝費もバカにならない。ミニシアター系の場合、フリー・パブリシティ(雑誌とかの記事掲載や新聞の映画評など)中心ですが、記事にしてもらうための業界向け試写会も10回以上は行うし、公開日が近づけばテレビ・スポットや駅張り町張りなどの広告も出す。

 また、芸能ニュースなどで取り上げてもらうために、監督や主演俳優を招聘しての記者会見も行う。有名な俳優さんだとマネジャーも付いてくるし、ファースト・クラスじゃなきゃ来日しない、などと言う俳優もいる。

 更に加えて、劇場に対して「売上保証」をしなくてはならない。劇場も商売だから、コケル映画は上映したくない。劇場ごとにペイする金額が決まっていて、これを「週アベ」(週間アベレージの略です)と呼び、配給会社は「週アベ」を保証しなくてはならない場合が多々あるんです。

 これだけでも、恐ろしいビジネスだとお分かり頂けると思いますが、これまでの事は上映が決まった場合のお話。劇場が決まらない場合だってあるんです。何千万円も払って買ったのに、上映できない。泣くに泣けません。

 また、一般的に、配給権を買って、その作品が上映されるまでに早くて半年、通常は一年間くらい掛かります。仕込みの期間がとても長い。その間、従業員の人件費から、家賃から何から出て行くばかりで、買った作品からの収入は「0円」。恐いです。

 そして、ミニシアター系の場合、都内で当たらないと地方では上映してもらえません。また、興行収入も都内10に対して大阪で5、福岡で3くらいと地方上映は厳しい。

 またまた恐ろしいことに、当たったら当たったで、利益の何割かを原権利会社にペイバックするんです。
 
 セテラの山中さんも、よく十数年間、映画ビジネスを続けてきたなー、と感心します。ジェラール・フィリップ作品の権利を延長するには、金銭的に厳しい事は容易に想像できます。

 権利を失うのは、「断腸の思い」(朝日新聞の記事から)である事は、良く分かります。

 「銀幕の貴公子 ジェラール・フィリップ」、観に行きたいと思います。
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